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写真:濱田 淳二

TRAIL INC.
シニアディレクター
濱田 淳二

TRAIL INC.
シニアディレクター
濱田 淳二

KDDIを始めとして、複数の事業会社にてITを中心とした事業領域を中心に大手企業から新規上場企業及びベンチャーまでの幅広い経営ステージの管理実務を経験。計10年以上にわたって経営管理/企画部門及びグループ子会社を統括し、上場に耐えうる組織を整備し連結体制を構築したCFOとしての実績。M&Aから投資後の再編や事業再生まで複数手がけ、管理部業務全般に至る豊富なマネジメント経験を有する。帝京大学大学院 経済学研究科卒

INTERVIEW

上場会社取締役CFOや管理担当役員を歴任し、“経営管理のプロフェッショナル”と言われる濱田さんがTRAIL INC.に参加した経緯は?

もともとは経理のプロを目指して税理士の勉強をしていました。大学院を修了後、日本移動通信(現KDDI)に入社。そのころからITを中心とするベンチャー企業に俄然、興味を持ちだしました。その後、税理士の資格の取得まで残り1科目まで到達したので、税理士業で大成しようと税理士事務所に入りますが、ちょうどバブルが弾けたころで多くの中小企業が経営に行き詰まっていたんですね。けれど税理士にできることは節税対策のアドバイスが関の山。そこにジレンマを覚えました。そこで経理から経営へと視点を変え、経営の勉強を始めたんです。
その後、創成期のデジタルハリウッドに転職し、子会社であるゲーム会社の立ち上げのチャンスをいただきまして主体的に管理部門を構築しました。そこでは人事、労務、採用と管理部門の下積みをすべて経験できましたね。その後、今度はネットバブルが到来。またしても管理部門を整えることしかできない自分の力不足を痛感したんです。
そうして戦略的経営思考に基づく経営管理の手法を学ぶべく、三井物産の子会社に入社。以降、オペレーションマネジメントから経営に直接関わるポジションにステップアップを果たし、ヘッドハンティングによりコンテンツ制作会社、金融システムの会社役員、上場準備中の株式会社オークファンを役員として上場を果たすなどを経て現在に至ります。

写真:濱田 淳二

そうした多彩な業界、幅広い経営ステージで得られた気づきはどのようなものでしょうか?

若い会社には誰かの知識や経験を伝承するシステムが構築されていないので、部分的な経験値しかない人が多いということを実感しました。アメリカには“コントローラー”というポジションがあります。これは一定の責任を持ち、経営者と対等な立場に立ってマネジメント業務を行うという役職で、日本にもこうした役割が必要だと痛感したんです。もともと日本の中小企業はボトムアップを得意としていますから、現場にある、分断された情報や知識を経営と対話ができる情報に変換し、経営からの指示を現場で結果が出せる指示に的確に分解。そしてこれを責任が果たせるプロセスや役割として伝承できるシステムがあれば、もっとうまく機能すると確信していました。これを体系的に行うためにTRAIL INC.に参加しまして、現在は私が構築した『管理部門・課題解決パッケージ』を部分的に使い分けてメンバーや経営者と伴走しながら、経営管理や管理組織の構築・再生を実践しています。

TRAIL INC.では私生活の充実もテーマに掲げ、趣味の釣りに関しては、ウェブメディアの『JBpress(Japan Business Press)』で連載を持っています。

27歳で釣りに出合い、以来のめり込んでいます。平日は激務が続きますが、ひとたび週末になれば、東京湾・相模湾・駿河湾にて年間35日程度の釣行を実践。陸で和竿を使った江戸前のハゼからキスにアジ、淡水のワカサギ、沖ではアジ・タチウオなどのライトゲームからワラサ・カツオ・マグロなどのビックゲームまで、年間を通じて多彩な釣りを楽しんでいます。近年、釣行日数は減らしているものの、『釣りは味わいと情報戦』を信条に、ミニマムの実釣時間で最大限の楽しみを享受すべく釣行にITを取り入れていますよ

釣りは情報戦、ですか。

ITを使って予測釣行を行うのです。どういう環境が釣れるのか、例年いつ頃から釣れ始めて、釣れなくなるのか。目指す獲物と釣法のパターンは。直近の気象・海況、そして今年の盛期は、去年との偏差はどうか、釣況からみてどう判断するか。経験値だけではなくITによるさまざまな情報をもとに仮説を組み立てます。仮説の検証を繰り返すことで再現性が生まれます。現在はもう一歩進んで『時短釣行』に挑戦しているんですよ。『時短釣行』という制限を加えることで釣果の再現性のみならず、釣行までのプロセスにもゲーム性が加わってさらに豊かになる。いわば、自分が手にできるものを細大漏らさず駆使する。これは企業買収で得た教訓ですが、TRAIL INC.に来て釣りにも戦略的にアプローチするようになりました(笑)。

釣りと経営にはどこか共通点があるのでしょうか?

まず『自然科学的思考』が根底にあります。釣りは自然を体感しながらもその法則を探しにいく行為です。一方、経営も人間(個人)の計算では測りきれない「生き物」であり、この法則を探し続けている点で、私は両者を同じように捉えています。また、仮説論証のプロセスも似ていますね。自然というものは丁寧に仮説論証を繰り返せば、科学的に再現法則があると考えています。経営についても私たちなりの勝ち手を探す過程は同じです。たとえば、水面下の状態をわからない釣り人には水面下を想像する方法を教えると釣れるようになります。同様に、停滞した管理部門員に見えない(見えていない)他部署の事情と自身が達成したい目的との解決方法を教えると、これを自律的に解決できるようになります。釣り人も経営も目的を持たないとひたすらにインフレーション(より大きく、より大量に)を起こしていく。そのあたり、経営管理の思考で考える釣りをテーマに『JBpress』で執筆しておりますので、ご興味をお持ちの方はぜひご一読ください。

写真:濱田 淳二

そんな濱田さんのいちばんの強みはなんですか?

目的に向かって猪突猛進するところでしょうか。学生時代はテニスで2年連続、インターハイにも出ましたし、国体の出場権も獲得しました。また、大学生のときはクルマに夢中になり、アルバイト代をつぎ込んで『頭文字D』でお馴染みの通称『ハチロク』(私の場合はトヨタ・カローラレビン)を手に入れました。練習場で自動車部所属の大学の先輩に走りの基本を叩き込まれながら、『Fun to drive』したのもいい思い出です(笑)。ただ、サーキットを走るにはそれなりの軍資金が必要で、卒業してすぐに結婚した妻に、『年収1000万円を超えるまでクルマはお預け』と言われたんです。じゃあ、サーキットを走るために年収1000万円を超えよう。クルマへの強い気持ちが仕事への原動力になりましたから、やっぱり猪突猛進タイプですね。とはいえ飽きっぽいのではなく、そうした趣味はいまだに生きています。夜中、釣行のために走る海までの道のりで、当時教わった法定速度での荷重移動とライントレースを駆使して、存分に走りを楽しんでいますよ。

写真:濱田 淳二